Hong Kong 2020 #4

Nikon Z7 + Mount Adapter + Voigtlander APO-LANTHAR 50mm F2 Aspherical
2020.01 / Central

APO-LANTHAR 50/2の写りはご覧の通り素晴らしいものでした。このレンズのライバルとして、おそらく多くの方がAPO-SUMMICRON 50/2を挙げるのではないかと思います。12万円と100万円、価格差は8倍以上となりますが、性能の高さはどちらも甲乙つけがたい。ただし味つけは少し異なり、APO-SUMMICRONの方は解像力が非常に高いレンズにありがちな、後ボケのざわついた感じが時折顔を出してきますが(たとえばこの写真)、APO-LANTHARはそこを上手に処理していて、キレのよさを残しながらもボケ味はどんな条件でも滑らかな印象です。また開放から1段(F2.8へ)絞るとボケが真円になる特殊な絞り羽根の形状により、口径食を完全に消すことも可能。コシナは普通に作るだけでは飽き足らず、面白いギミックをどこかに仕込んできて、我々ユーザーを楽しませてくれます。では、APO-SUMMICRONに8倍以上の価値はないのか?といえばそんなことはなく、猛烈な解像感やピント面の浮き上がるような演出は実に巧みで、APO-LANTHARよりも「凄み」のある写りを魅せてくれます(たとえばこの写真)。そこに価値を感じる人なら、8倍以上の価格差も100万円という価格も関係ないでしょう。そこが買って使ってみないとわからない、レンズというものの面白いところでもあると思います。