untitled #621

Leica M10 + Light Lens Lab V2LC 35mm F2 周八枚
2020.11 / Higashi Urawa

中国の周さんというライカマニアの方が往年のSummicron 35mm F2 1st(いわゆる8枚玉)の設計や硝材を忠実に再現したレンズを生み出しました。
その復刻レンズは通称「周八枚」と呼ばれているもの。数ヶ月前に香港のショップにオーダーして、予定より少し遅れたこのタイミングで届きました。プロトタイプと異なり、絞り値が等間隔に配置されているのが私が入手した通常版となります(Instagaramの写真)。

オリジナルのコピーですから、まあ、パチもんと言ってしまえばその通りなんですが、ライカ自身が復刻したSummaron-M 28mm F5.6も同様に、往年のレンズを忠実に再現し、オリジナルの最良のコンディション(写り)を再現しようという試みは、製造段階での精度が飛躍的に高まった今だからこそできるものだろうと思います。復刻の赤ズマロンにしろ、この周八枚にしろ、ちゃんとオリジナルへのリスペクトを感じるのも単なるニセモノとは違うところ(オリジナルとパーツレベルでの混血にならぬよう、設計レベルで配慮が施されています)。鏡胴がアルミ製のオリジナルに対し、こちらは真鍮鏡胴。ずっしりと重く、ヘリコイドの動作もなめらか。無限遠ロックもパチンと収まります。色はブラックペイントを選んでみました。「V2LC」の「V2」はガラス材料のロット番号とのこと。「L」は鉛入りガラス、「C」はシングルコーティングを表すとのこと。鉛入りのフリントガラスは中国でも在庫が少なく、将来のロットでは鉛フリーのガラスへ硝材が変わるそうです。

早速試写してみました。この写真は1段絞ってF2.8。開放付近での繊細で柔らかな描写やコントラストが低めであっさりとした発色、そしてフレアが出やすいところ。絞ると徐々にキリッとしてくるところもオリジナルによく似ている気がします。というか、リアルなオールドレンズ以外でこれほどオールドレンズそのままの写りをするレンズは初めてな気がします。実際の比較はいつかオリジナルを手に入れた時にとっておくとして、まずはこのレンズを本格的に使い込んでみたいと思います。

写真はランチで入った喫茶店にて。